日曜日はアリシアでファンダンゴ
■スキャンダルを隠すのは別のスキャンダル
先日、夫とアンティーク市場ラグニージャへ行った帰りに、タクシーを利用したのですが、連邦警察所前に群がる報道陣を横目でみながら「みんなチャポ(グスマン)脱走の取材で、よう来るな〜、まあ、脱走できることなんて、みんな知ってたけど」とつぶやきました。
そこから、「そうだよね〜。こんなんじゃ驚かないよ」という話になり、夫が、「昨日ちょうど映画『Dictadura Perfecta(完璧な独裁者)』を見たから、余計そう思うね」といったら、運ちゃんも「ありゃ、面白い映画だよね。でもあそこで描かれているのは現実なんだもんな。映画に登場するテレビ局はテレビサ(メキシコ最大手テレビ局。政府との癒着が囁かれる)をモデルにしてるんだろ。テレビの報道ってのは民衆を騙すために仕組まれているもんだ」といって、盛り上がりました。
<映像>「Dictadura Perfecta」(ルイス・エストラーダ監督)予告編▼
チャポ・グスマンの脱走劇で、にわかに盛り上がっているメキシコですが、その裏にはなにがあるのでしょうか? 史上最高額の懸賞金もかけられております。
ネットにはこんなmemeも登場↓
内務大臣「大統領、IMSSとISSSTE(政府の医療保険機関)を民営化しようとしてることに民衆が気づいたようですぜ」
大統領「心配無用。いまチャポを逃がして、みんなの気をひいているから」
まさにテレノベラ(連続テレビドラマ)を地でいくメキシコ社会ですが、前述のタクシーの運ちゃんや、私の仲間、夫の家族や同僚はもちろん、市場で野菜を売ってるおばちゃんにきいても、今回の脱走騒動を本気で驚いている人なんて、誰もいないんですけど?
実は洗脳されてない人々のほうがけっこう多いんだよ、と思います。
■マルチ文化フォーラム、アリシアの伝統音楽イヴェント
さて、そんな雑音のあとには、いい音楽を聴くにかぎる!というわけで、7月の毎週日曜にアリシアで開催されている『ALICIA EN EL FANDANGO』へ7月12日に行ってきました。この日はウアパンゴのバンドが3組出演しました。
アリシアについてはこちらを↓
ウアパンゴとは、メキシコのウアステカ地方(ベラクルス州北部、タマウリパス州南部、サンルイスポトシ、ケレタロの山間部、イダルゴ州、プエブラ州をまたにかけた地域)の伝統音楽と踊りです。その音楽はソン・ウアステカとも呼ばれ、ルーツに関してもベラクルス州発祥のソン・ハローチョと共通項が多いです。もともと農民たちの労働歌、大地を守るための抵抗の歌でもあるわけですから、EZLNのマルコス副司令官が、ソン・ウアステカやソン・ハローチョなどメキシコのソンが大好きなのにも、うなずけます。ちなみにソン・ウアステカでも、ソン・ハローチョで使用する小型の弦楽器、ハラーナを使用します。野性的なバイオリンの音色と、裏声が特徴。
アリシアに、ちょっと遅れて着いたら、すでに場内は踊るひとたちの熱気でいい感じ。
▼会場入り口
▼会場に着いたらみんな踊ってて、家族的な雰囲気。エエナ〜
女性だけのトリオ、Palomitas Serranas。素敵な演奏!▼
子どもも高齢者も若者もウアパンゴのステップを踏んで、踊っています。
ピエロもいる!!
<映像>子ども可愛く踊ってました▼
この飛び入り参加してナワトル語の詩を詠んだ人って、Mardonio Carballoだったのかな?▼
サンルイス・ポトシ州名物のエンチラーダスの屋台もでていました。美味しかった〜!じゃがいもが挟んであります。
▼会場ではEZLNグッズの販売も
この『Alicia en el fandango』今月はあと2回開催予定なので、ぜひぜひご参加を!!
7月17日、18日はコロンビアの重鎮アコーディオン奏者、カルメロ・トーレスのライヴ。
7月17日は、ソン・ハローチョのベテラン、パトリシオ・イダルゴ率いるアフロ・ハローチョのコンサートもあります。
偶然にも、トラディショナルな音楽イヴェントが多いなあ。
メキシコシティにいると、いろんな地方や世界の音楽が聴けるのが嬉しいです。