南の熱気を運ぶ男たち、チコ・トルヒージョに惚れちまった
■チコ・トルヒージョのメキシコツアー!
メキシコでも人気のあるチリのオルタナ・クンビア楽団、Chico Trujillo(チコ・トルヒージョ)が、メキシコツアーの最後をメキシコシティで締めくくりました。
公演のポスター▼
オールディーズな内装もよい。
メキシコにはキューバ伝来のダンソンという社交ダンスがあるのですが、ここはメキシコシティのダンソン愛好家のメッカ!毎週火曜日がダンソンの日で、土・日曜どちらかはサルサ、クンビア、メレンゲみたいなトロピカル音楽イヴェントもやります。私も社交ダンスを習っていたときは、ちょくちょく通っていました。
今回のようにハコ貸しもしてて、DJ SPOOKYもここで公演したことがあるそうです。う〜〜〜む、それは何か変な感じだけど。
ダンソンなど、メキシコ・ベラクルス州のカリブ音楽については以下の記事をご参考に!▼
メキシコシティにはまだまだ旧き良きダンスホールが存在するのですが、そこでは、チカーノ(メキシコ系米国人)不良文化を継承するズートスーツ姿のダンサーを見かけることが多いです。「メキシコがチカーノ文化を継承?メキシコのほうがチカーノにとってはルーツなんだから、その逆なのでは?」と思われるかもしれませんが、逆輸入(?)的な文化もけっこうメキシコにはあるのです(そのあたりについて、ここに書いております→ 名代☆日々是メキシコ(旧) メキシコのパチューコたちが集合!(前編))。
Ana Tijoux(アナ・ティジュ)のマネージャーが、Chicoのマネージャーもやってて、今回のライヴに招待してくれたのですが、ただで観に行くだけでは悪いし、もったいないと思い、取材のつもりで一眼レフ持って行きました(まだ決まっていないけど、インタビュー記事を書きたいのだ!)
だって、VIP招待を当たり前と思い始めたら、音楽愛が腐るってもんだヨ!
前座に登場したクンビアミクスチャーバンド、アストロス↓
あんま好きじゃね〜な〜と思ってみてたら、夫の旧友のEPHOWがDJ部門を担当しているじゃないか!知らんかったから、めっちゃビックリしたわ。
夫もこの日は同伴していたのですが、ヒップホップDJであるEPHOWがクンビアに腰をくねらして踊る姿に大笑いしていました(ひどい友だちだ)。
そして、終わったあと、楽屋へ挨拶に行ったら、EPHOWも
「うわ〜〜まさかこんなところで会うなんて!!」と驚きを隠せぬ様子。
「おまえ、ヒップホップのDJやってるときより、ずいぶん楽しそうだったな!」と夫がいうと
「ヒップホップのイヴェントだと、みんな腕組んで仁王立ちしてるか、腕挙げるだけで、反応が薄いじゃんか。クソつまんないから、今はクンビアDJのほうが楽しいよ。ほら、皆に腰を動かして味わい深く踊ってほしいじゃない」
といってました。どこの国もヒップホップの聴衆ってそういうものなのかしらね?
そして、ついにChicoの演奏が始まった。
圧巻のフォーンセクション!!
チャランゴの音が、なんとも麗しい。
途中でマリンバとギロの2人組がゲスト出演しました↓
このおばさん、バカテクのマリンバ奏者だなあ、と見とれていたら、
MCで気がついたけど、実はおじさんだったという….
再びChicoが登場し、マリンバ楽団と競演しました(写真撮れず)。
ラテンアメリカの祝祭音を呑み込んだ、力あふれる世界。
彼らが音を奏でれば、どこでもカーニバルになってしまうほど。
南の魂と斬新な音遊びの融合に、唸りっぱなしでした。
すごいバンドですよ、これは!
ライヴを観て、心底ファンになってしまった。
こんな経験久しぶりです。
その後、トリでセルソ・ピーニャのバンド(メンバーはほとんど家族)が出演。アコーディオンの超絶早引きと、観客とコミュニケーションする芸人魂あふれるパフォーマンス。
どや!
どや!
どや!
どや!
どや!
どや!
という感じで、どや感が凄いです(何のこっちゃ)。
もちろん、ピーニャのステージはいつ観ても素晴らしいのですが、
この日のベストアクトは、やっぱりチコ・トルヒージョだったなあ。
■メキシコお別れライヴ
7月4日のイベントは写真を撮ることに集中していたら肝心のライヴが堪能できなかったので、おととい、Pulqueria Insurgentes(プルケリア・インスルヘンテス)で緊急開催されたchicoのライブにも行ってきました。
Pulqueria Insurgentesは、メキシコのどぶろく、プルケが気軽に呑めて、気が利いたイヴェントも行われる場所。
プルケについては、こちらをご覧ください↓
この日の入場料は破格の100ペソ(約800円)!!
開演3時間前からチケット購入するために並びました。
でも、こういう時にもVIP対応を求めて、もめる輩がいるんだよね。
「俺の名前が招待リストに入ってないなんておかしい」とかゆって。
100ペソくらい払いなさいな!お前より貧乏な私だって払ってるのに。
ステージは店内のせまい中2階スペースで、バンドメンバーが入りきれないほどキツキツ。
▲中2階のステージを中二階よりのぞむ。階下にも客がびっちりいるが写真に収められず
若人たちに混じってはりきって参加したはいいものの、それほど大きくない店に200人以上無理矢理入れたため、暑いわ、狭いわで窒息しそうになり、1時間30分経過したところで私はギブアップしてしまった。
音も良くない悪条件のなか、それでも見事に聴かせる演奏をするあたりは
やっぱ、すごいバンドですよ!!
■カーニバルを封じ込めたような新作が発売!
そんな、チコ・トルヒージョのブラスサウンド炸裂の新譜『REINA DE TODAS LAS FIESTAS』が最高に良い!!アルゼンチンのケビン・ヨハンセンもゲスト参加しています。個人的にはチリのフォルクローレ界重鎮、インティ・イリマニのカヴァーがお気に入りです。