気がつけば、ここはメキシコだった

メキシコ在住ライター、小さな食堂『EN ASIAN FOOD』のおばちゃん、All About メキシコガイド 長屋美保のブログ

働かないで呑んで踊っていたいが、そうもいかない

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さる12月13日、日曜日、NHKちきゅうラジオに出演させていただいた。
話したテーマは、毎年12月12日、こちらでは盛大に祝われるメキシコの守護聖母、褐色のマリア=グアダルーペの祝日(誕生日)について。
 
再放送はこちらから聞けるそうだ▼
 
メキシコではグアダルーペの祝日から、1月6日の三賢者の日までを「Guadalupe Reyes」と呼ぶのだが、これはメキシコの宴会シーズンを示す言葉である。いわば、メキシコの長い長いクリスマス・シーズンの始まりだ。
(このあたりのことについては、以前TABIZINEの記事「飲んで食べて踊りまくる?なが~いメキシコのクリスマス」にも書かせていただいた)
 
All Aboutの記事もご参考に! ▼
さて、12月12日に、私たちの食堂を営業したのだが、その日は、みんなフィエスタ(宴会)疲れで、ゆっくり休んでいたり、家族で団らんするひとたちが多いので、店の周りは閑古鳥が鳴いていて、さっぱり売れなかった。
 
来たお客さんはひとりだけ。いや、ひとりでも、ありがたい。
これは、ゆっくり休めということだと思い、早じまいした。
 
 
この時期になると、メキシコの人々にとって、フィエスタや、それを彩る音楽は欠かせないものと痛感する。
 
先週、夫のいとこの誕生会に家族でいったときのこと。いとこのパコは踊るのが大好きで、彼の若い恋人(パコはゲイである)もかなり踊りがうまい。パコの友人たちもみんな踊り好き。
 
そんななか、あの病弱で、つり銭詐欺にあって、いたくへこんでいたはずの姑が、「よっしゃ〜」と、クンビアのリズムとともに上着を脱ぎ、パコの恋人の腕をつかんで、踊りに誘った(半ば強引に)。
 
店で働いているときには「疲れた」と、ぐったりしていた姑の姿は、どこへやら。
ものすごい早いステップを披露し、ターンしまくりで、まさに水を得た魚のようである。通常、ペアダンスの時は男性がリードするのだが、完全に姑がリードしている。
それを見て、一緒に出かけたルームメイトのTさんも唖然としていた。
 
音楽は私にとっても、活力を与えてくれるものだ。だから、店の音楽をSpotifyではなく、CDでかけることも地道に続けている。これが、かなりお客さんに好評で、本当に嬉しい。
 

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▲先週のある日のメニュー。その日のBGMとなるCDのジャケも写真に収めるようにしてます。この日は「ゴサンド・ウィズ・チコ〜ラテン・ソウル・コレクション

 

音楽をきっかけに会話がはずむと楽しい。毎日果てしなく疲れているけど、そんな疲れもふっとぶものだ。
 
なかでも反応がいいのが、ミュージックキャンプの宮田信さんが監修したコンピレーションで、チカーノソウル名盤『イーストサイド・ソウル・クラシックス 1963-1977』。
 

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このアルバムには、ヴィレッジ・カラーズによる“The Frog”(ジョアン・ドナートの曲のカヴァー)が収録されているのだが、ブラジル出身の女性のお客さんが、「これ、ドナートのカヴァーだね!」と声をかけてくれて、嬉しかったので、彼女が大好きというエリス・レジーナのアルバムをかけたら、とっても喜んでくれた。
音楽が、いろんなひとのサウダージを呼び起こすってのは、なかなかジンとくる。
 
そして、このアルバムが、メキシコの人々からも反応がいいのは、郷愁というか、サウダージを誘うからと感じる。10年以上前は、メキシコ人たちはチカーノたちを疎ましく思っているという話もきいていたのだが、実際にこちらにいると、ほとんどそんなことはない。だって、彼らの多くの家族が米国に住んでいるわけだし。
私の夫の家族のなかにも米国へ渡ったひとたちがいるのだが、彼らにとって、チカーノ文化とは、かなり身近で、親しみ深いもののようだ。だから、米国のチカーノたちの音楽を聞くと、遠くにいる家族のことを思いだすのかもしれないな。
 
このアルバムもそうだけど、ジョー・バターンや、ラルフィ・パガンのチカーノ・クラシックスをはじめとし、最近のグループである、チカーノ・バットマンや、ビエント・カジェヘーロカンバラチェのアルバムも、気にいってるお客さんが多い。
 
相変わらず、その日暮らしで、生活はギリギリ。先のこともあまり考えられないのだが、それでも、音楽によって、ひとと共鳴できる瞬間は、とても豊かな気持ちになり、つくづく、店をやってみてよかったなと思うのであった。
 
はやく、音楽呑み屋にしたいなあ(夜に酒を売る許可は、まだ取れそうにないが)。
 
関係ないけど、最近好評の当店のハヤシライス▼

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ところで、ミュージックキャンプも関わる、代官山の山羊に、聞く?にて、メキシコ在住の米国人ジャズ/ジャムバンド系ギタリスト、Todd Clouserが、初来日、日本ソロ公演する。

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彼がメンバーで所属する A Love Electricというトリオ(米国、メキシコ、アルゼンチンのメンバーから成る。私は、メキシコのベーシスト、Aaron Cruzのファン♥)も相当カッコいいので、Toddのソロライヴがトリオの来日公演に繋がるといいな(このフライヤーだと、25日の会場がMUSIC CAMPになってますが....、正式には代官山の「山羊に、聞く?」です)。
 
イヴェントの詳細はこちらより▼
Toddは、このほかにも、東京、大阪での公演が決まっているので、ぜひ行ってみてくださいな〜
 
そして、お知らせですが、今週末、12月19日土曜は、メキシコシティで開催のLA ONDA KUSTOMフェスティバルにて、出店するので、お店は休ませていただきます。

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同フェスについては、以前こちらにレポートを書いたので、読んでみてください▼
 
 
http://mihonagaya.com/