気がつけば、ここはメキシコだった

メキシコ在住ライター、小さな食堂『EN ASIAN FOOD』のおばちゃん、All About メキシコガイド 長屋美保のブログ

全部1レアル 

メキシコシティの歴史的中心区の片隅で店(EN Asian Food)をはじめて3週間が経ちました。
夫は今の職場を辞めるわけにいかず、店では土日しか働けません。ものすごい小さな店とはいえ、その間、私ひとりで店を担うのは荷が重いので、バイト君を雇い、姑にも働いてもらうことになりました。
ほんとうは、小料理屋にしたいのに、まだ夜の酒販売の許可がとれていないので、定食屋・弁当屋どまりです。
 
やっと店っぽい写真が撮れたので掲載▼

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まず初日、店の近隣にあるオフィスへ出勤前のひとたちを見込んで、コーヒーやサンドイッチを売ろうかと考え、はりきって7時に出勤したのですが、バイト君も姑も来ていませんでした…..。
というわけで、早朝営業案は撤回されました。
 
そのあと、メキシコ出身NY在住のMC、BOCAFLOJA(ボカフロハ)がサイン会みたいなイヴェントをうちの店でやってくれたり、少し前にその存在を知って、会って話してみたいな〜と、なんとなく思っていた日本の演劇関係の方が、ひょんなことから店を訪れてくれたり、いつも会う仲間や、久しぶりに会う仲間が訪れてくれたり…..と嬉しいこともたくさんありましたが、問題もた〜〜くさんありますね…..。
 
まず、インヘが「作った」といっていたガスコンロが、スーパーで適当に買った、ちゃちなものということが発覚し(というか、スーパーで同じものが売られているのを見てしまった。インヘはそのメーカーがわかんないように、ロゴ部分をペイントしていたのだ)、それが、時々火が着かなくなったり、火の調節がまったくできないので、本当に困っています。なのにインヘは「俺が作ったんだから、問題があるわけない。図面を見せてやる」とか意固地になっていってるし。痛すぎるわ。というか、こっちの頭が痛い。
 
つづいて、あるおじさんに、100ペソと10ペソ10枚を200ペソに両替してくれないかと、いわれて、簡単に引き受けてしまい、200ペソ札(1800円相当)を渡したら、「あれ、これ他の国のお札だよ!」といわれ、見たら、私がさっき渡した200ペソと思っていた札が、なんとブラジルの1レアル札(31円相当)ではないですか!その場は、もしかしたら開店したばかりのゴタゴタで、気がつかない間に誰かから1レアルを受け取ってのかも…..と考えていたのですが、どうも腑に落ちん。どうやら、そのおじさんは、手品のように私がもっていた200ペソ札とブラジルの1レアルをすり替えたようです(色調がほとんど一緒!)。しかし、いつの間にすり替えたのか...華麗なる技…..(と感心している場合じゃないけど)。
 
肝に銘じるために、店の冷蔵庫に1レアルを貼ってみました▼
 

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さらに、バイト君は遅刻や欠勤をしながらも、「店をこうしたらいい」とか、「こういう料理を作ればいい」とか、いう理想論を繰り広げ、1週間で辞めていったし(辞めるときに泣いてた)、姑はやたら涙もろくて、扱いに困る(私が泣かせたんじゃないよ、というかこっちが泣きたい)。
そんなわけで、かなり疲労していますが、この短期間にも、ご近所のリピーターのおきゃくさんが何人かきてくれたうえに、店の目の前のコンサートホールのダフ屋のひとたちまで食べにきてくれて、救われた気持ちです。でも、店頭にたってあらためて思うのは、いろんなひとがいるなあということ。偉そうに「あたしは客なんだから、丁寧にあつかえ」風を吹かしていたおばさんに、「あなた、〇〇美術館のショップで働いている方ですよね」と正体を見破ったら(私はそのショップへ客としてけっこう行っていたので、彼女も気がついたみたい)驚いたらしく、でかい態度をとったのを恥ずかしく思ったのか(?)もう、来なくなっちゃったなあ。まったく、誰が見てるかわかんないんだから、ひとによって態度を変えたりしちゃいけないよね。
 
しかし、客が来る時と来ない時がまったく読めません。平日の夕方でも、バタバタとひとがきたり、金曜でも、ほとんどひとが来なかったり……。
担当の会計士さんからは、まだ店をはじめたばかりだから、あまり焦らずに、コツコツやっていきなさいと、しごくまっとうなことをいわれました。
 
そういや、5日ほど前に、ようやく電話やネットも設置でき、冷蔵庫も増やして、2日ごとに氷を入れ替えていたアイスボックスともお別れ。う、嬉しい。
 
そんなわけで、皆さん!いつかメキシコシティにきたら、必死で暑苦しい食堂に食べにきてください!
 
1レアルで思いだしたのが、ペドロ・ルイス パレーヂのこの曲(同曲が収録されたアルバムの邦題は、『全部1レアル』)だったりする。
 
 
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