【悪魔の家に行ってきた】メキシコ・プエブラ州の裏観光スポット
All Aboutメキシコにプエブラ・チョルーラ観光記事が更新されています。
個人的には世界遺産に登録されるプエブラよりも、チョルーラのほうが地味ながら面白くて好きです。
All Aboutではプエブラを世界遺産の可愛い街♥と紹介していますが、プエブラってけっこうダークな場所なんですよ。なので、このブログではウラ観光スポットともいえるチョルーラの「悪魔の家」を紹介します。
※ 以下はブログEl fandango en la fronteraのために2013年2月8日に書いた記事の再掲です。
-------------------------------------------------------------------
友人AKちゃんのバケーション期間中、近場ですぐに行けるところに旅行したいねという話をしていて、年末に急遽プエブラへ行ってきた。手術後初めての遠出だったから、すごく楽しかった。
AKちゃんが、プエブラへ行ったことなかったから、市内観光するつもりだったんだけど、プエブラから車で30分くらいの街、チョルーラに住む友人ニック(ここではジャイアンと呼ぼう)に声をかけてみたら、一緒に遊んでくれることになった。ジャイアンはDJやイベントのオーガナイザーとして活躍する。エレクトロニックミュージックのフェス、Interfaceの主宰者でもある(現在休止中) 。見た目はジャイアンなだけに、貫禄あるけど、実は若い。
チョルーラは、最近Pueblo Magico(魔法の村。簡単に言うと郊外の素敵町&村にだけ与えられる勲章のようなもの)に指定されたそう。
プエブラのバスターミナルに着いて、グアダルーペの祭壇の写真を撮っていたら、家族と一緒にいた知らないおじさんが「バスの中で暇だったからグアダルーペの顔を描いた」という石を私たちにプレゼントしてくれた。なんだか幸先いいぞ!!
ジャイアンに電話したら、なんとベネズエラ出身でメキシコに帰化したチョルーラ在住のパナも来るというじゃないか!5年ぶりくらいの再会!彼にはカラカスへ行ったときに、実家に泊めさせてもらって、ゲットーでの取材につき合ってもらったりして大変お世話になったのだ。
なぜか待ち合わせは町外れのショッピング・モールにあるMac Shop。ジャイアンの自損したI-Padを修理に出すためというジャイアンらしい勝手な理由。シカゴから来ているジャイアンの友人のジュリーも合流して、一緒に観光しようということに。
ショッピングモールをのぞくと、うぉ~~懐かしい!
タワーレコードがある!!
アメリカは倒産してもうないけど、メキシコには現存してたんだな~。私はかつて日本のタワーレコードで働いていました。
I-Padが簡単になおらないと知ったジャイアンが、I-Padを持ち歩きたくないから家に置きにいきたいといい、
合計5人でタクシーに無理矢理乗り込み、ジャイアンの家へ。
その近くの道でなんと発掘してた。
人骨!紀元前800年のものらしい。チョルーラは先スペイン期にメキシコ最古とされる大都市があったため、メソアメリカ文明において重要な場所なので、こういうことがいくらでも起こるらしい。
それで、かねてから行きたかった、Santa María Tonantzintla(サンタマリア・トナンツィントラ)のウルトラバロック教会へ行くことに。
バロックを先住民的解釈で装飾した傑作といわれる教会。でも教会内は写真を撮ってはいけない!めちゃくちゃ残念。噂にはきいていたけど、顔だらけの過剰装飾。見ているだけで吸い込まれてしまいそうな、すごいところ。詳しくはネット上にあった写真をごらんください。
村の風景。実にのどか。
その後、ジャイアンがおもむろに「悪魔の家にいこう!」と叫び、またぎゅうぎゅうづめでSan Luis Tehuiloyocanという村へタクシーで移動。
なんでも地元で「悪魔の家」と呼ばれている古い家があり、狂った男が悪魔教をテーマに独りで壁画を描いたとかなんとかいう話で、よくわからないけど、行ってみることに。
タクシーの運ちゃんも知らないと言っていたが、道行くひとにたずねながら到着するも、なんと閉まっておる!
しかし、その隣の建物で、海賊盤を売っている男性に話をきくと「うちの敷地から入れるよ」というではないか。ええ、そんなことできるの?というと「もともとうちの一部だったから問題ないよ」とのこと。せっかくここまできたので、入ってみようということになった。
「悪魔の家」の隣の家の中庭。収穫したとうもろこしが置いてあった。
タクシーの運ちゃん(おじちゃん)も最初は30分後に迎えにくるといってたのに、「俺もやっぱ興味あるから行きたい」といいだして、建物のなかに入り、はしごをつかって、悪魔の家の敷地に入った。
壁画内に1770年という数字が描かれている。
左端にいるピンクシャツと素敵スラックス姿の男性がタクシーの運ちゃん。この後事件が起こり、恐ろしい話を知るのだった...右端に見えるのが、いわくつきの井戸
壁画は石を使って描かれ、左右対称的。なんとも不思議だけど味がある。壁画に刻まれた文字によれば、1770年に描かれたようである。
見終わってさあ、帰ろうかというときになって、タクシーの運ちゃんが転んで素敵なスラックスを破くアクシデントがあった。膝を擦りむいたくらいで済んだので、悪魔のせいだね、あっはっはーとか皆で笑ってたんだけど…..あとでジャイアンに教えてもらったこのブログ記事 によると、この場所がめちゃくちゃヤバいところだったということが発覚。
San Luis Tehuiloyocanという村には3つの教会があり、その3つにあわせるようにして「悪魔の家」が存在していて、私たちが行ったのは、現在一般に公開されている唯一の家だそう。ふだんは地元の子どもたちのための図書館や文化センターとして機能している。
壁には先住民文化とカトリック由来の悪魔崇拝や黒魔術のモチーフの絵が描かれている(勃起したチンチン。紙の帽子をかぶった猿、太陽と月、船、蛇、プルケを作る先住民などなど)広い中庭には井戸があり、かつて黒魔術で生け贄にされた乳児や子どもの死体などが投げ込まれていたとされる。毎晩0時には緑色のハエがたくさん湧いてくるそうだ。
そんな言い伝えから、村のひとたちはこの悪魔の家について語ることを好まないそうで、謎に包まれているのだと。
悪魔の家を後にした私たちはピラミッドの上の教会へいった。丘のように見えるのが実は先住民時代の神殿の一部で、現存するピラミッドでは世界最大といわれている。しかし、先住民のピラミッドのうえに強引に教会を建てるなんざ、スペイン侵略者たちは、恐ろしいわ。いまは草が生えてるから、丘の上の黄色い教会ってかんじで、ほのぼのした風景にみえるけど、昔はもっと神殿の形が露だったと思うから「乗ってる」感が強かったんだろうな。そう考えたら、さっきの「悪魔の家」よりも恐ろしい場所なんだよね~。
ちなみにこのピラミッドの内部に入ることもできて、なかなか面白い。世界不思議発見の竹内かなえがレポートしてもおかしくないくらいだが、今回は時間もないので割愛。
ジャイアンの一声で、日が落ちる前に活火山、ポポカペトルが見えるジャイアンおすすめのポイントへ移動。
そして最後はジャイアンが、車を持っている友人を強引に「10分でこいよ」と呼び出して、プエブラの街へ繰り出した。
プエブラ中心部の教会のイエス像も血だらけで、すごいダーキーだ。
チョルーラだけでも365の教会があるといわれるカトリックを代表する州のプエブラだけに、可愛らしい町並みとは裏腹に、宗教がらみの重い話がいっぱいある気がする。盲目の神の子のオリジナル像が祀られているのもプエブラの教会だし。
今回は早足で巡ったけれども、プエブラ州の影の部分を掘り下げる旅も面白いと思う。
------------------------------------
ちなみに、この記事に登場する「ジャイアン」はチョルーラでレコ屋をやっていて、GOTH-TRADを招いて最高なイヴェントをオーガナイズした人です。そのときのレポートがele-kingに掲載されているのでぜひ読んでみてください。
ジャイアンにはAll Aboutのプエブラの記事の情報提供もしてもらってます!
■プエブラ参考リンク